■目的・用途を決める
小形風車を導入する時には、その目的・用途を明確にせず導入を進めた場合、メーカーや設置業者または周辺住民とのトラブルの原因になりますので、その目的や用途を明確にすることが肝要です。
■風の強さ(平均風速)を調べる
設置予定場所の風況は気象庁アメダスデータやNEDO局所風況マップや環境省風況マップ等からおおよその風速を参照できます。注意点として、これらのデータは測定高さが異なるため、風力発電機の設置高さでの風速を算出することが必要です。
気象庁 過去の気象データ検索
NEDO 局所風況マップ
環境省 風況マップ
■近隣の状況を確認する
風力発電機が発電を開始すると、回転音やモーター音が発生します。騒音やシャドーフリッカー(影のちらつき)は、苦情の要因になる可能性があるため、あらかじめ、メーカーの推奨する住宅地からの離隔距離や設置条件を十分に確認してください。各機種の騒音レベルは、認証取得機種一覧で確認できます。
■地域特有の条件を確認する
設置予定場所特有の気象現象(雷、台風、豪雪など)が予想される地域では、これらが十分に考慮された機種の選定、対策が必要です。
また、設置に関する法令法規、地方自治体の定める条例については、あらかじめメーカーに確認しましょう。
1. 認証の有無を確認する
FITを利用して導入する際には、JIS 基準(JISC1400-2)又はJIS 基準に準じた認証(JSWTA(日本小形風力発電協会)が策定した規格の認証又はJSTWA認証相当の海外の認証機関の認証)を得ている機種が対象となります。認証取得機種一覧を参照し、十分に安全性の考慮された機種を選定します。
2. 風況に適した機種を選定する
認証を受けた機種には、風車(SWT)クラスⅠ~Ⅳが定められます。風車クラスとは、風車を設計する際の基本パラメータの一つであり、例えば強風地域での利用を考慮する際には、風車クラスⅠまたはⅡが選定されます。各風車クラスのハブ高さにおけるパラメータは下記の通りです。
SWTクラス | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | S |
Vref(m/s) | 50 | 42.5 | 37.5 | 30 | 設計者が定める値 |
Ve50(m/s) | 70 | 59.5 | 52.5 | 42 | |
Vave(m/s) | 10 | 8.5 | 7.5 | 6 |
Vref:ハブ高さにおける10分平均基準風速(m/s)
Vave:ハブ高さにおける年平均風速(m/s)
Ve50:再現期間50年の3秒平均風速(m/s)
■工事業者の資格、実績の有無を確認する
風力発電機の設置には、電気工事、土木工事、建柱・取付工事等が伴います。設置時の施工不良によって、重大な事故につながる可能性があるため、必ずこれらの専門資格を有した業者に依頼してください。また、設置実績やメンテナンス経験の有無を確認することも重要です。事前に設置事例を見学するなど、コストだけでなく作業管理体制等も十分に確認しましょう。
■アフターサービス体制を確認する
FITが適用される20年間を安全に稼働するためには、定期的なメンテナンスが必須です。取り扱う業者に十分なアフターサービス体制があるか、メンテナンス部品の入手が容易か、緊急時の連絡体制等も確認しましょう。また、導入前のコストシミュレーションでは、申請手続き費用、メンテナンスコスト、部品交換コストが含まれているかについても十分な説明を受けましょう。
■ 保証・保険の適用を確認する
風力発電機には通常火災保険が適用されますが、メーカー・機種により、製品保証の内容は異なります。また、台風、雷などに地域特性に応じたプランを提案する保険会社も増えてきています。契約の段階では、十分に内容を理解し、万が一の場合にどのような手続きが必要かを確認しましょう。
詳しくは、「小形風車導入手引書」をご参照ください。